2012年12月14日金曜日

キヤモドゥス Cyamodus

Cyamodus hildegardis
キヤモドゥス ヒルデガルディス

全長 約1m
スイス・北イタリア
三畳紀中期

:
プラコドゥスヘノドゥスプセフォデルマ等を含む板歯類の一種。キヤモドゥス属には数種が報告されていますが、今回はその中でも2010年に胴体についての詳細な報告されたヒルデガルディス種を基にしています。キヤモドゥスの復元に関しては、以前はウミイグアナのような胴体を持つ姿に復元されていましたが、2010年の報告から近縁のプセフォデルマと同じように、背中と腰の2枚の装甲板を持つ姿だったと考えられています。
また、カメと違い、手足が甲羅の中に引っこむような骨格では無いので、このイラストではトカゲやワニのような一般的な前後肢の表現にしています。

:
主な参考資料

・" New interpretation of the postcranial skeleton and overall body shape of the placodont Cyamodus hildegardis Peyer, 1931 (reptilia, Sauropterygia)."
Torsten M. Scheyer (2010).
 Palaeontologia electronica,

・"Osteology of the skull of Cyamodus kuhnschnyderi "
Nosotti & Pinna (1993)



 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)
                                        (恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)

2012年11月7日水曜日

モスコプス Moschops


Moschops capensis
モスコプス・カペンシス

全長 約3m
南アフリカ
ペルム紀後期
 

 哺乳類を含む単弓類の中の恐頭類の1種。ペルム紀後期では大型の陸棲動物でもあります。もちろん恐竜ではありません(恐竜が現れるのは、ペルム紀の後の三畳紀)。

私が子供のころ、「大昔の動物」的な古生物図鑑ではかなりの頻度で紹介されていた動物。ペルム紀の哺乳類型爬虫類(今ではあまり使われない用語ですが)といえば、ディメトロドン、エダフォサウルス、そしてこのモスコプスでした。その後、ディメトロドンやエダフォサウルスは国内でも展示があり見る事も出来ましたが、モスコプスを見る機会がありませんでした。書籍でネットで見るモスコプスの展示はいつもアメリカ自然史博物館のもの。2011年にニューヨーク行きを決めた理由の何割かは、モスコプスを見るためだった、、、、、ような気がします。


今回のイラストは、その念願叶って見ることが出来たアメリカ自然史博物館の骨格を基にしています。このモスコプスの骨格、1920年代に組み立てられて以来、恐らく復元に修正等は加えられていません。また、他の近縁種を見ても、それほど大きく復元が変わってもいません。約90年以上復元が変わっていない、というのは古脊椎動物では結構珍しい部類かも。もちろん、私のリサーチ不足なのかも知れませんが、、。とはいえ、私にとってはこの復元骨格が憧れの展示だったので、その想いも含めての今回のイラストになっています。

 (2011年 アメリカ自然史博物館にて撮影)

 :
主な参考資料

・"The skeleton of Moschops capensis Broom, a dinocephalian reptile from the Permian of South Africa"
  Gregory, William K. (1926)

・" Anomodontia (Encyclopedia of Paleoherpetology, Part 17c/Handbuch Der Palaoherpetologie, Teil 17c)Gillian M. King 

・「哺乳類型爬虫類」(金子隆一 朝日選書)



 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)                                       
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2012年10月6日土曜日

ブイトゥレラプトル Buitreraptor

Buitreraptor gonzalezorum
ブイトゥレラプトル・ゴンザレゾルム

全長 1.5m
アルゼンチン
白亜紀後期


ヴェロキラプトルやデイノニクス、ミクロラプトル等に代表されるドロマエオサウルス類の中でも、南米・マダガスカルなど南半球で化石が発見されているウネンラギア類の一種です。 他のドロマエオサウルス類に比べても細長い顔が特徴的。また、小さく数の多い歯を持つ事も特徴の一つ。ほぼ完全な全身骨格が発見されており、また現時点では南米最古のドロマエオサウルス類でもあります。


今回のイラストでは、羽毛を黒っぽい色にしています。黒は太陽光を吸収しやすい色、つまり体温が上がり易い色なので中~大型の恐竜には使いにくい色なのですが、ブイトゥレラプトルは小型なので、こういう色の可能性も高いのでは、と考えました

















(復元骨格 シカゴ・フィールド博物館にて2007年撮影 
後に映っているのは、デイノニクス。南米と北米のドロマエオサウルス類の比較展示になっています。)



主な参考資料
 
・"The unusual dentiton of Buitreraptor gonzalezorum (Theropoda: Dromaeosauridae), from Patagonia, Argentina: new insights on the unenlagine teeth" 
Gianechini, F.A.; Apesteguia, S., Makovicky, P.J (2009).

・ "Unenlagiinae revisited: dromaeosaurid theropods from South America"
  FEDERICO A. GIANECHINI  and SEBASTIÁN APESTEGUÍA (2011)




 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)                                       
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2012年9月14日金曜日

マンテッリサウルス&イグアノドン&ムッタブラサウルス



マンテッリサウルス・
アテルフィエルデンシス
 Mantellisaurus atherfieldensis
(もしくはドロドン・セエリィ Dollodon seelyi



 イグアノドン・ベルニサルテンシス
 Iguanodon bernissartensis




ムッタブラサウルス・
ランドグニ
Muttaburrasaurus langdoni




 :
  前回に続き、デフォルメ&シンプルに恐竜を描きわけシリーズです。

・マンテッリサウルス
 私の子供の頃はイグアノドンの一種、イグアノドン・マンテリとされていました。その後、イグアノドン・アテルフィエルデンシスに学名が変わり、現在ではイグアノドンとは属の違うマンテリサウルス、もしくはドロドンという2つの説が出ているようです。次に紹介するイグアノドン・ベルニサルテンシスに比べ、小型で華奢、前肢が短めです。

・イグアノドン・ベルニサルテンシス
いわゆる一般的な「イグアノドン」。ギデオン・マンテルにより報告された最初のイグアノドンから約50年後にベルギー・ベルニサール炭鉱より発見された化石に命名された種です。ほぼ完全な骨格が数多く発見されており、その後のイグアノドンと言えばこのベルニサルテンシスを指すようになっただけでなく、恐竜研究全体にも大きな影響を与えた標本です。

・ムッタブラサウルス
オーストラリアで発見された大型鳥脚類。イグアノドンと近縁、という説もありますが、一方でもっと原始的な鳥脚類から、イグアノドンとは別の系統として大型化したもの、という説もあります。イグアノドンに近縁とする場合、前指の第一指(人間でいう親指)がスパイク状に表現される事が多いですが、今回はイグアノドンとは離れた種類である説を基に、スパイクは無い表現にしています。その他では、頭部のふくらみが外見的にイグアノドンと大きく違う所です。
 以前は、イグアノドンの一種にも同じような頭骨のふくらみをもつ1種・イグアノドン・オリエンタリスIguanodon orientalisが報告されていましたが、現在はイグアノドンとは近縁ですが別属のアルティリヌス・クルザノヴィ (Altirhinus kurzanovi )とされているようです。














マンテッリサウルス骨格
(展示キャプションでは、イグアノドン・アテルフィエルデンシス
ベルギー王立自然科学博物館にて2012年撮影)















 イグアノドン・ベルニサルテンシス骨格
(ガラスケースの中は発掘・研究当初の旧復元、手前は新復元
ベルギー王立自然科学博物館にて2012年撮影)














ムッタブラサウルス骨格
(福井研立恐竜博物館にて2009年撮影)

 :
 主な参考資料

・福井県立恐竜博物館・展示解説書

・「BERNISSART DINOSAURS」(Pascal Goderfroit編)

"New Basal Iguanodonts from the Cedar Mountain Formation of Utah and the Evolution of Thumb-Spiked Dinosaurs"  Andrew T. McDonald, James I. Kirkland, Donald D. DeBlieux, Scott K. Madsen,  Jennifer Cavin,  Andrew R. C. Milner,  and Lukas Panzarin (2010).


 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)                                       

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2012年9月3日月曜日

アパトサウルス&ディプロドクス






















アパトサウルス
全長約23m

ディプロドクス
全長約26m

北米
ジュラ紀後期



デフォルメ寄り&シンプルな表現で、恐竜をどう描き分けられるか、という主旨で試しに描いたイラストです。この2つは竜脚類の中でも同じディプロドクス類に属する近縁の恐竜で良く似ていますが、骨格を比べた時、パッと見で気が付くのは体格の差かと思います。アパトに比べ、ディプロドクスは華奢で細身な印象なので、その部分の違いを描き分けるポイントにしました。全長ではアパトのほうが短いのですが、体格の違い、またディプロのほうが尻尾が長いため、実際に骨格を目の前にするとアパトのほうが何となく大きく感じます。

ディプロドクスの背中から尻尾に小さなトゲがありますが、これはディプロドクスの化石で、尻尾付近から棘の印象化石が見つかった、という報告を元にしているためです。ですが、これに関してはその後、より詳細は報告・論文を見つかられなかったので、現在研究としてどう扱われているか、確認出来ませんでした。また、頭部についても、頭骨を元に描き分けてみました、(アパトのほうが、より馬面の感じがします)。














 アパトサウルス(アメリカ自然史博物館にて2011年撮影)
アパトサウルスは、非常に良い保存状態の実物化石を組み立てた
全身骨格が 東京・国立科学博物館に展示。














ディプロドクス(ベルリン自然史博物館にて2011年撮影)
日本国内では、東海大学自然史博物館に常設展示されています。



主な参考資料

・「世界最大の恐竜博2002」 図録

・「The Dinosauria」(University of California Press)

 :

 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)                                       
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2012年7月18日水曜日

テムノドントサウルス Temnodontosaurus



Temnodontosaurus trigonodon
テムノドントサウルス・トリゴノドン

全長 9m
ドイツ
ジュラ紀前期

:
ジュラ紀前期の海に生息していた大型の魚竜の1種。日本国内での展示等ではあまり馴染みはありませんが、魚竜を含むジュラ紀の海棲生物化石の宝庫であるドイツから状態の良い化石が発見されており、ドイツの博物館では大型の魚竜はテムノドントサウルス、中~小型魚竜はステノプテリギウスが多く展示されています。

テムノドントサウルスが繁栄したジュラ紀前期には、エラスモサウルス等の大型首長竜類やモササウルス類はまだ現れていないので、テムノドントサウルスのような大型の魚竜が現在のクジラやシャチのような、海の動物の頂点に位置したと考えられます。また、円錐状の歯を持つことから、小さな魚やイカだけでなく、比較的大きな獲物、つまり小型の魚竜等も捕食していた可能性があります(追記:2012年に、歯を持たないと考えられるテムノドントサウルス属の新種報告されています)
外見的には、同時代の他の中~小型魚竜に比べ胴体は細長く、後ビレが比較的大きく、前ビレの1/2~2/3程度の長さがあります。

今回のイラストは、州立シュトゥットガルト自然史博物館に展示されている立体骨格をベースに描いています。ドイツの海棲動物の化石は、基本的には2次元的につぶれた状態での産出なので、立体的に復元された骨格は珍しいのです。また、世界的に見ても大型魚竜の立体骨格はあまり数多くは無いでしょう。













(シュトゥットガルト自然史博物館にて2011年撮影)
シュトゥットガルト自然史博物館には、数多くの見事な海棲爬虫類の標本が展示されていますが、その中でもテムノドントサウルスやエウリノサウルスといった大型魚竜が並ぶスペースは壮観。その中にさらにテムノドントサウルスの立体骨格があるという、魚竜好きにはたまらない博物館と言って良いかと。















主な参考資料

「恐竜解剖―動きと形のひみつ」 
(クリストファー・マクガワン 工作舎)

・「Ichthyopterygia :Handbook of Paleoherpetology Part8」 Christopher Mcgowan & Ryosuke Motani

・ "The Ichthyosauria" Maisch, M. W. & Matzke, A. T.



 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ)                                       
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2012年6月22日金曜日

スピノフォロサウルス Spinophorosaurus



Spinophorosaurus nigerensis
スピノフォロサウルス ニゲレンシス
全長 約13m
アフリカ・ニジェール
ジュラ紀中期
スピノフォロサウルスは、2009年に記載・発表された恐竜です。記載論文の骨格図では、発見された2体分の化石を合わせると、頭部の一部、前肢の肘から下、後肢の指骨部分を除き、ほぼすべての部分が見つかっているようです。また1個体については、首からシッポまではほぼ繋がった状態という、非常に良い保存状態で発見されています。

外見上の一番の特徴は、シッポの先の2対のスパイクです。一方、竜脚類としては原始的な特徴を持っていると考えられており、中国産のシュノサウルスと近縁と言われています、シュノサウルスもシッポの先にこん棒のような膨らみに短いスパイクが付いていたとされており、この2種の恐竜の間には、シッポの先に何かしらの特徴を持つという共通点もある事が興味深いです。

この恐竜が発表されてしばらくは、産状状態の画像と骨格図しか無く、絵や模型の題材にするにはちょっと難しい恐竜だったのですが、先日ネット上に組み立て骨格の画像を見つけ、驚きました。不完全な頭骨は、シュノサウルスに似た形状に復元されています。今回は、全身骨格図と組み立て骨格を元にイラストを描いています。シッポのスパイクは、骨格図と組み立て骨格で形状に違いがあるのですが、今回は組み立て骨格に合わせています。
そのスパイクの詳細も含め、機会があれば是非、全身骨格を実際に見てみたい恐竜です。

主な参考資料
"A new basal sauropod dinosaur from the Middle Jurassic of Niger and the early evolution of sauropoda." 
 Remes, K., Ortega, F., Fierro, I., Joger, U., Kosma, R. and Ferrer, J.M.M. (2009).

Staatliche Naturhistorische Museum 
スピノフォロサウルスの全身骨格を展示している
   ブラウンシュヴァイク自然史博物館


(イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ
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2012年5月4日金曜日

バトラコトムス Batrachotomus

 Batrachotomus kupferzellensis
バトラコトムス クプフェルゼッレンシス
最大5~6m
ドイツ
三畳紀中期


:
バトラコトムスは、恐竜ではなく、クルロタルシ類・プレストスクス科に属します。
クルロタルシ類は、ワニの仲間を含む動物群で、このバトラコトムスが属するプレストスクス科は、ワニの先祖に近い系統になります。

プレストスクス科で代表的なのはブラジルで発見されたプレストスクスで、ニューヨークのアメリカ自然史博物館等に全身骨格も展示されており、ネット上でもその画像を多く見る事が出来ます。一方で、このバトラコトムスは複数の個体の標本が見つかっており、そこからほぼ全身の骨格が判っています。プレストスクス科の中でも大型に部類で、ドイツ・シュトゥットガルドの古生物博物館には、その全身復元骨格が展示されています。この展示骨格には、背中の装甲板も再現されており、非常に見応えのあるものでした。今回も、その展示骨格を元にイラストを描いています。

















 (ドイツ・シュトゥットガルド古生物博物館にて2011年撮影)

















こちらはプレストスクス
(アメリカ自然史博物館にて2011年撮影)

 大型肉食恐竜を彷彿させる頭部に、四足歩行ながら、直立に近い姿に復元されるこのプレストスクス科の仲間は、独特の魅力とカッコ良さがあり、古生物好きの中でもファンが多いのでないでしょうか?


主な参考資料
・"POSTCRANIAL ANATOMY OF THE RAUISUCHIAN ARCHOSAUR BATRACHOTOMUS
KUPFERZELLENSIS"
DAVID J. GOWE and RAINER R. SCHOCH (2009)

・"The cranial and mandibular osteology of a new rauisuchian archosaur
 from the Middle Triassic ofsouthern Germany"
David J. Gower (1999)


 (イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ


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2012年4月10日火曜日

カルノタウルス Carnotaurus
















Carnotaurus sastrei
カルノタウルス サストレイ

全長 約8m
アルゼンチン
 白亜紀後期


カルノタウルスと言えば、「肉食の雄牛」を意味する名前の由来にもなった頭部の角と共に、小さい前肢が特徴です。ですが、この前肢は小さいだけではなく、その形自体にも大きな特徴があります。
















肘から手首にあたる、下腕の部分がとても短くなっているのです。これに筋肉や皮膚が付くと、外見的には肘からすぐに手首と指が表れているように見えたかも。少なくとも、一般的な「腕」のイメージとはかけ離れたものでしょう。カルノタウルスの復元をする際には、隠れた、しかし重要なポイントですこの前肢の特徴は、程度の差はあれ、カルノタウルスの近縁のアウカサウルス、マジュンガサウルス等のアベリサウルス類の仲間に見られます。前肢の用途と小型化の理由は、ティラノサウルス科以上に不思議でもあります。加えて、大きな頭部と小さな前肢の組み合わせのティラノと対象的に、カルノタウルスの頭部はそれほど大型ではありません。その組み合わせの違いもまた不思議なところです。

















  




カルノタウルス(2008 茨城県自然博物館・特別展にて撮影)
左下の復元模型は、私が製作したものです。















マジュンガサウルス(恐竜博2006にて撮撮影)















アウカサウルス (大恐竜展2009にて撮影)


主な参考資料
・"A NEW CLOSE RELATIVE OF CARNOTAURUS SASTREI BONAPARTE 1985
(THEROPODA: ABELISAURIDAE) FROM THE LATE CRETACEOUS OF PATAGONIA"

(RODOLFO A. CORIA, LUIS M. CHIAPPE, and LOWELL DINGUS,2002)

"Overview of the history of discovery, taxonomy, phylogeny, and biogeography of Majungasaurus crenatissimus (Theropoda: Abelisauridae) from the Late Cretaceous of Madagascar" 
(Sampson, Scott D.; & Krause, David W.)

・「大恐竜展(1998年 国立科学博物館)」 図録

・「大恐竜展(2009年 国立科学博物館)」 図録

・「恐竜学最前線 7」(学研)

・「肉食の系譜」 カルノタウルス
:
(イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ
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2012年3月5日月曜日

シャロビプテリクス Sharovipteryx















Sharovipteryx mirabilis
シャロビプテリクス ミラビリス

全長20cmキルギスタン

三畳紀後期

:
手足に張った膜で滑空する事が出来たと考えられている爬虫類です。その特徴から翼竜の先祖という説がある一方で、翼竜とは直接には繋がらない、より原始的なプロラケルタ形類の一つという説(1)も有力視されているようです。プロラケルタ形類には、水棲適応のタニストロフェウス等が含まれています。

恐竜に関しては、研究や発見の進展に従う復元の変化についてニュースになる事も多いですが、当然、他の古生物に関しても様々な研究・発見がされています。今回のシャロビブテリクスも滑空時の手足の広げ方、膜の形に幾つかの説があります。今回は、その中で2006年に発表された論文
(2)を参考にしています。


主な参考資料
(1) "An evaluation of the phylogenetic relationships of the pterosaurs among archosauromorph reptiles."
   David W.E. Hone and Michael J. Benton (論文自体は未入手。要旨と関連の記述を参考にしています)

(2) "Flight of Sharovipteryx mirabilis: the world's first delta-winged glider." Journal of Evolutionary Biology.
  Dyke, G.J., Nudds, R.L. and Rayner, J.M.V. (2006).

・「THE PTEROSAURS」 David M.Unwin(2006)

・「翼竜」 ペーター・ヴェルンホファー


(イラスト:ふらぎ  文:ふらぎ



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2012年2月14日火曜日

アナトティタン(?)  Anatotitan

 
Anatotitan copei
アナトティタン コペイ
(Edmontosaurus annectens エドモントサウルス アンネクテンス)
全長 ~13m
北米
白亜紀後期


●アナトティタンはエドモントサウルス?
今回のイラストは、ニューヨーク・アメリカ自然史博物館に現在アナトティタンとして展示されている全身骨格をベースに描いています。


















(アメリカ自然史博物館にて2011年撮影)

この骨格に関しては、恐らく世代ごとに覚えている名前が違うかと思います。私が子供の頃はアナトサウルスでしたが、それ以前はトラコドンという呼び方が一般的でした。そして現在、アメリカ自然史博物館での表記はアナトティタンになっています。ですが、少し前からアナトティタンはエドモントサウルスに含まれるのではないか、という説が有力になりはじめ、2011年に発表された説では、エドモントサウルス・アンネクテンス(Edmontosaurus annectens)の成長&より年をとった個体という事になっています。










エドモントサウルス(イラスト: ヤマモト


個人的には、アメリカ自然史の骨格は子供の頃から何度も本等で見たもので、なおかつ復元の古さはあるものの綺麗な組み立て、加えて他のエドモントサウルスとは違う魅力を持つ頭骨等と、思い入れのある展示骨格です。アナトサウルスからアナトティタンに学名が変わった時に驚いたものですが、アナトティタンという名前は良い響きでもあるので、この名前が消えるのは惜しい気もします。


主な参考資料
・"Cranial Growth and Variation in Edmontosaurs (Dinosauria: Hadrosauridae): Implications for Latest Cretaceous Megaherbivore Diversity in North America"
Nicolas E. Campione, David C. Evans, 2011

・「恐竜博2009 砂漠の奇跡!」 公式カタログ

・「Horns and Beaks」(INDIANA Uniniversity Press)
角竜とハドロサウルス類の専門書。2007年時点までのアナトティタンの学名の変遷についての、詳細な記事があります。


(イラスト:ふらぎ・ヤマモト  文:ふらぎ

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2012年1月16日月曜日

コンカベナトル Concavenator


 
Concavenator corcovatus
コンカベナトル コルコバトゥス
全長 約4m
スペイン
白亜紀前期


コンカベナトルは、2010年に発表・記載されたばかりの獣脚類。ギガノトサウルスやアクロカントサウルス等を含むカルカロドントサウルス類の1種と考えられています。そして、その一番の目立つ特徴は、背中の突起です。この突起は、腰の骨の上では逆に低くなり、腰のすぐ後ろの尻尾では再び高くなります。この腰の部分の凹みは、軟組織で覆われているという解釈で、背中の突起から尻尾までをなだらかに繋ぐ表現が多いのですが、今回のイラストでは、敢えてそこを骨の形状のままに描いています。この凹みがそのまま外見に出るのは、ちょっと不自然かとも思いますが。

また、このコンカベナトルで背中の突起以上に重要なのは、前肢の骨の表面に並んでいた1mmほどの小さな突起です。















(Francisco Ortega et al. (2010) )


同じような物は、コンカベナトル以外ではベロキラプトルのような、カルカロドントサウルス類よりもっと鳥に近い獣脚類で見つかっており、羽根の軸の根元であると考えられています。それを元に羽根の原型を思わせる軸が腕から伸びた復元をされる事が多いようです。今回のイラストも、その表現にしています。

イラストについては、プロポーションを全体的にもう少し細目に描き、中型獣脚類の軽快さを表現しても良かったかも知れません。

背中の突起や羽根の跡とも考えられる突起だけでも重要な発見ですが、頭から尻尾の先までほぼ完全な化石が見つかっているため、この先の研究では、また新たな発見があるかも知れない恐竜です。



主な参考資料
・"A bizarre, humped Carcharodontosauria (Theropoda)
from the Lower Cretaceous of Spain"
Francisco Ortega, Fernando Escaso & Jose L.Sanz


(イラスト・文 ふらぎ
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2012年1月6日金曜日

タテネクテス Tatenectes

Tatenectes laramiensis
タテネクテス・ララミエンシス
全長 約3m
北米
ジュラ紀後期


・扁平な胴体を持つ首長竜
2011年に発表・報告された古生物の中で印象的だった物の一つが、このタテネクテスの新標本に関するものでした。タテネクテス自体は1900年にW.C.Knightよる記載から,これまで部分化石しか見つかっていませんでしたが、昨年発表の論文には、胴体部を中心に見つかった新標本と、それを元に復元された骨格図・復元図も掲載されました。その復元の一番の特徴は他の首長竜にくらべ、横に扁平な胴体に復元されていた事です。首長竜は、その姿を「ウミガメの胴体にヘビの首」と例えられる事もありますが、この論文にあるタテネクテスの胴体は、よりウミガメを連想させるものです。素人目には、より水中での安定が良さそうにも見えます。

・首長竜の尾ビレは?
 また、先の論文にある骨格図には、シッポの部分に尾ビレのシルエットも描かれています。首長竜の尾ビレの存在はこれまでも示唆されていましたが、ここ最近、論文も出され、新しく製作された復元図等では、尾ビレのある物も見られます。ただ、この尾ビレの存在がハッキリ確認されている標本は少ないようで、すべての首長竜に尾ビレがあったのか、またその形がどうだったかは、まだこれからの研究や新発見等を待つ必要があるようです。 首長竜に関しては、その他にも泳ぎ方や首の可動域等、様々な部分が研究中で、シンプルなデザインながらイラストや造形製作の際には悩みどころが多い題材でもあります。


主な参考資料

・"A New Skeleton of the Cryptoclidid Plesiosaur Tatenectes laramiensis Reveals a Novel Body Shape Among Plesiosaurs"
F. Robin O'Keefe,* Hallie P. Street, Benjamin C. Wilhelm, Courtney D. Richards and Helen Zhu
Journal of Vertebrate Paleontology 31(2) (2011)

・"NOVEL ANATOMY OF CRYPTOCLIDID PLESIOSAURS WITH COMMENTS ON AXIAL LOCOMOTION."
Benjamin C. Wilhelm (2010)


(イラスト・文 ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)