2013年6月28日金曜日

プロトケラトプス Protoceratops


 Protoceratops andrewsi
プロトケラトプス・アンドリュウシ
全長 約2m
モンゴル
白亜紀前期


代表的な初期の角竜の1種。子供から大人まで、数多くの化石が発見されています。角竜の特徴の一つであるクチバシと共に、小さなキバ状の歯も持っており、原始的な形態を残しています。

今回のイラストは、林原自然科学博物館により発掘され、組み立てられた骨格を元に描いています。
(2013年 「モンゴル恐竜化石展」にて撮影)
この組み立て骨格は非常に精度の高い復元・組み立て作業がされており、世界でもトップクラスの恐竜組み立て骨格かと。フリルの形状などから、メスと推測されているようです。


こちらは、ヴェロキラプトルと一緒に見つかった有名な闘争化石。
(2013年 「モンゴル恐竜化石展」にて撮影)


子供から大人までの頭骨を並べた、これも有名な展示
(2011年 ニューヨーク・アメリカ自然史博物館にて撮影)

私の子供の頃は、ロイ・チャップマン・アンドリュースの発掘隊がゴビ砂漠で世界で最初に発見した恐竜の卵化石は、このプロトケラトプスの卵、となっていましたが、現在では小型獣脚類・オヴィラプトルの卵と考えられているようです。


主な参考資料
・「モンゴル恐竜化石展」図録(2013)


(イラスト・文:ふらぎ
(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)



2013年6月19日水曜日

シュヴウイア Shuvuuia

シュヴウイア デセルティ
Shuvuuia deserti

全長約60cm
モンゴル
白亜紀後期

前回紹介のモノニクスと同じ、アルバレッツサウルス類に属する恐竜です。モノニクスとの違いでもあり、またこのシュヴウイアの特徴でもあるのが、前肢の指です。第1指(親指)はモノニクスと同じように大型化していますが、第2指と第3指が非常に小さくなっていますが残っています。最初に発見された化石では第1指だけと見られていましたが、その後、林原自然科学博物館の発掘隊によって発見された化石により、第2指、第3指の存在が判りました。また、この発見により、モノニクス等、他のアルバレッツサウルス類にも小さな第2,3指があった可能性が示唆されています。さらに、このシュヴウイアはアルバレッツサウルス類の中でも、原始的な羽毛のような痕跡が見つかっている恐竜でもあります。
(3本指が確認できる標本・
大阪市立自然史博物館・特別展「モンゴル恐竜化石展」にて撮影)



主な参考資料
・"A new specimen of Shuvuuia deserti Chiappe et al., 1998, from the Mongolian Late Cretaceous with a discussion of the relationships of alvarezsaurids to other theropod dinosaurs."
Suzuki, S, L. Chiappe, G. Dyke, M. Watabe, R. Barsbold and K. Tsogtbaatar (2002).

・「モンゴル恐竜化石展」図録


 イラスト・文:ふらぎ



(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)

2013年6月6日木曜日

モノニクス Mononykus


モノニクス オレクラヌス
Mononykus olecranus

全長: 90cm
発見地:モンゴル 
時代:白亜紀後期
 
獣脚類の中のアルバレッツサウルス類の1種。名前の由来通り、前肢には大型化した第一指(親指)の一本しか指がありません。この指の機能については、シロアリのアリ塚をこの指で壊し、シロアリを食べていた、という説が良く知られていますが、、まだはっきりとした事は判っていません。



モノニクス全身骨格復元
(アメリカ自然史博物館にて2011年撮影)


主な参考資料

・「恐竜王国2012」図録
・「恐竜博2005」図録
・「モンゴル恐竜化石展」図録
  (イラスト・文:ふらぎ


(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)

2013年6月2日日曜日

イグアノドン Iguanodon (旧復元)

 Iguanodon bernissartensis
イグアノドン ベルニサルテンシス(旧復元)

全長: 8m
発見地:ベルギー(その他、ヨーロッパ)
時代:白亜紀前期
 
イグアノドンは最初に学名を付けられた恐竜です。その学名が付けられてしばらくは、鼻の上にサイのような角を持つ、いかにも「爬虫類」という姿で復元されていました。
そのイグアノドンの姿が、現在の復元に一気に近づいたのが最初のイグアノドンの発見から約50年後、1878年のベルギーのベルニサール炭鉱での発見でした。30体とも言われるイグアノドンの化石が見つかり、さらにその中には関節の繋がった状態、つまり生きていた時の姿に近い状態のものも多く含まれていました。この発見はイグアノドンだけでなく、恐竜全体の復元の研究を大きく進展させました。ここで発見された化石は、組み立てられベルギー王立自然科学博物館に展示される事になります。今回のイラストは、その展示骨格を基に描いたものです。


(ベルギー王立自然科学博物館にて2012年撮影)

現在の復元に近づいた、と解説しましたが、当時はまだ尻尾を引きずったカンガルー型・もしくは日本ではゴジラ型とも言われる復元スタイルが「最新」でもありました。このベルギーの展示もゴジラ型スタイルです。
2012年にベルギー王立自然科学博物館で、当時の復元のままのイグアノドンの展示を見た際、その化石の保存状態の見事さと共に、非常に精密に組み立てられた復元骨格に驚きました。もちろん復元としては古いスタイルなのですが、各関節が大きく外れる事もなく、また左右のバランスにも狂いが少ない、「綺麗」な骨格なのです。

現在の復元を基にした骨格にも精度の差、組み立て手法の差があるように、各年代での復元骨格、そしてイラストや模型にも精度の差があります。今回は、精度が高いと感じたベルギーの骨格に沿った復元を試みたらどうなるか、という主旨で描いています。


         (現在の復元を基にした作品 )





こちらは、ベルリン市立動物園内のアクアリウム前のイグアノドン像。1930年代の製作だそうですが、プロポーションや前肢の各指の長さの正確さや、顔がトカゲ型では無く、頭骨に近い形状&クチバシ状の口先など、非常に精度の高い造形で驚かされます。

:主な参考資料
・ベルギー王立自然科学博物館・ガイドブック

・特別展「イグアノドン」図録(1985年開催)

 (イラスト・文:ふらぎ

(恐竜・古生物イラストブログ「Extinct Creatures)